ざつ旅 第5話感想｜雑だけど心に残る「カラスと龍と蕎麦と離島」の旅

『ざつ旅 -That’s Journey-』第5話「カラスと龍と蕎麦と離島」は、一人旅と二人旅という対照的な旅模様を描きながら、ちかの心の変化や成長を丁寧に描いた回でした。

前半は栃木県那須烏山の「龍門の滝」や「どうくつ酒蔵」など、静かな土地を一人で巡る旅。後半は新潟県粟島で、ハッスーとのエネルギッシュな夏の離島冒険。

このエピソードでは、雑に見えて実は深い、人とのつながりや旅の意味を再確認する時間が描かれていました。そんな第5話の見どころを振り返っていきます。

一人旅で見つけた「龍門の滝」｜雑な直感が導く発見

「ざつ旅」第5話のAパートは、ちかが久々に挑む一人旅。

行き先はSNSのざっくりしたアンケートで「上（北）」と決まり、栃木県の烏山線へと導かれます。

そして、何の情報もないまま下車した「滝駅」での出来事が、今回の大きな見どころの一つとなります。

電車のアナウンスで「滝駅」という聞き慣れない響きにピンときたちかは、衝動的に下車します。

無人駅に降り立つと、次の電車はなんと2時間後。

しかし、駅の看板に「龍門の滝まで徒歩5分」との案内を見つけ、不安と期待を胸に歩き出します。

雨の中、たどり着いた「龍門の滝」は、高さ20m・幅65mのダイナミックな滝。

ゴウゴウと音を立てて流れ落ちる水の迫力に、ちかも思わず声を漏らします。

電車が上を通る構造や、実在するスポットとしての魅力も描かれ、旅好きの視点からも心惹かれる場所でした。

さらに驚いたのは、雨宿りに訪れた「龍門ふるさと民芸館」での体験です。

ここでは、地元グルメのハンバーガーを頬張りながら滝を眺めるという、ローカル旅ならではの特別な時間を過ごします。

観光地化されすぎていないからこその、静かで贅沢な空気が漂っていました。

さらに「どうくつ酒蔵」へと足を延ばすことで、ちかの視野の広がりも描かれます。

お酒が飲めなくても、「こういう場所に興味を持てるようになった」と語る彼女の姿は、旅を通じた成長そのものです。

ちかのざつな行動力と、そこでの偶然の出会いが、旅を豊かにしていく過程が印象的でした。

けんちん蕎麦との出会いがもたらした気づき

一人旅の終盤、ちかがふと足を止めたのは、烏山の街角に掲げられた「けんちん蕎麦」の看板。

その引力に吸い寄せられるように飛び込んだ小さな食堂で、思いがけない感動の食体験が待っていました。

この一杯の蕎麦が、彼女に“旅の本質”を教えてくれることになります。

入店したのは「純手打ちそば処 森食堂」。

一歩入れば、昭和の香り漂う温もりある内装、地元のおばあちゃんちに帰ってきたような安心感。

そして運ばれてきた「天もり蕎麦」は、幅広で噛み応え抜群の太打ち麺と、旨味たっぷりの出汁が絶妙な一品でした。

「けんちん蕎麦」とは、根菜や豆腐を炒めた「けんちん汁」をベースにした温かい蕎麦料理。

栃木や茨城では郷土料理としても親しまれており、体の芯まで温まる滋味深さがあります。

旅先での郷土料理との出会いが、旅の記憶をより豊かに彩ってくれる瞬間でもあります。

蕎麦をすすりながら、ちかの心に浮かんだのは、これまで一緒に旅をしてきた仲間たちのこと。

「今度は誰かと一緒に来たいな」と、一人の旅路の先に、誰かの存在を想う気持ちが芽生えます。

その言葉に続いた、「一人旅の旅の先って、だれかなんだ」という気づきは、今回の旅の最大のテーマとも言えるでしょう。

食を通じて、人とのつながりの意味を再確認する。

それは、ただの「雑な旅」ではなく、ちかの人生そのものに彩りを与える大切な経験だったのです。

旅先の小さな出会いが、大きな気づきへと変わる——それが「ざつ旅」の魅力なのだと強く感じました。

ハッスーと挑む真夏の粟島冒険旅！

前半の静かな一人旅とは打って変わって、Bパートではハッスーとのにぎやかな二人旅が始まります。

舞台は新潟県にある離島「粟島」。夏の太陽が照りつける中、6kmの徒歩旅という小さな大冒険が描かれました。

この対照的な旅の構成が、本話のユニークさと深みをより際立たせています。

ちかとハッスーは、宿泊先の民宿「源左エ門」から反対側の内浦集落まで徒歩で移動を開始。

離島一周に挑戦するというのは「ざつ旅」らしからぬ計画的な行動に見えますが、それを夏の真昼に実行するあたり、やはり雑さは健在です。

暑さと坂道に体力を奪われながらも、ハッスーのテンションの高さとちかの頑張りが旅を明るく彩ります。

ようやくたどり着いた食堂「あわしま屋」では、閉店10分前というギリギリのタイミング。

そこで待っていたのは、鯛の刺身と煮付けが主役の絶品定食。

汗だくの身体に染みわたる旨味と、苦労したからこその喜びが詰まった食事に、「ありがタイ！」のダジャレも飛び出すほどの大満足です。

食後は温泉施設「おと姫の湯」へ。

海を見渡せる露天風呂に身を沈め、旅の疲れを癒す2人。

「完！」と叫ぶハッスーに、「まだ旅は終わってない！」と突っ込むちかのやりとりも微笑ましく、二人の関係性の温かさがにじみ出ています。

一人旅では味わえなかった笑いと勢い。

仲間がいるからこその旅の楽しさが、今回は随所に描かれていました。

ざつでゆるい旅であっても、一緒に過ごす時間そのものが、旅の価値を何倍にもしてくれるのです。

ざつ旅 第5話に感じた「雑」の中の意味

『ざつ旅』の魅力は、計画性のなさ＝“雑”に見える行動が、じつは旅の本質を突いているところにあります。

第5話では、一人旅と二人旅を通して、「雑」な旅だからこそ得られる発見や成長が色濃く描かれました。

無駄なようで無駄ではない、その偶然性が人生の深さを映しているようにも感じます。

一人旅では、ちかが無人駅で降りるという突発的な行動を取りました。

それによって、龍門の滝や洞窟酒蔵、郷土料理の蕎麦など、事前に調べていたら見過ごしていたかもしれない体験に出会えました。

まさに、「雑さ」が旅を特別なものへと変えてくれる瞬間です。

一方の二人旅では、ハッスーという存在が重要な役割を果たします。

ちか一人では絶対に挑まないであろう離島の徒歩縦断を、彼女のテンションと巻き込み力が実現させました。

友人とだからこそできる無茶や笑いが、「旅は人との共有でもある」と気づかせてくれるのです。

どちらの旅にも共通していたのは、「旅の終わりに、自分自身の変化や人とのつながりを実感する描写」でした。

行き当たりばったりであっても、それが心の旅に変わっていく様子がとても丁寧に表現されています。

雑であることが、むしろ“真っ直ぐ”で“誠実”な生き方に思える、そんな余韻を残してくれました。

ざつ旅は、整ったガイドブックに載っている旅ではありません。

だからこそ、見ている私たちも「自分もどこかに行ってみようかな」と思える。

“雑”を通じて、“自由”と“気づき”を届けてくれる、今期屈指の旅アニメだと改めて感じました。

ご確認いただき、問題なければ最後のH2見出しに進みます。

ざつ旅 第5話「カラスと龍と蕎麦と離島」の感想まとめ

第5話は、Aパートの一人旅とBパートの二人旅という構成によって、「旅のかたち」を多角的に描いた回でした。

雑に見える選択が、実は心を動かす体験につながるというメッセージが、全体を通して伝わってきました。

旅が与えてくれるのは景色だけではなく、視点の変化と人とのつながり——それを改めて実感できる内容です。

栃木・那須烏山の「龍門の滝」や「どうくつ酒蔵」での静かな時間。

そこでちかは、自分自身と向き合いながら、「一人旅の先に誰かがいる」という大切な気づきを得ました。

旅の意味を内面から掘り下げる演出に、思わず見入ってしまった方も多いのではないでしょうか。

一方、粟島での冒険は、ハッスーとの賑やかなやりとりが中心。

海辺の道を歩き、鯛の定食を食べ、温泉に浸かる——その一つ一つの体験が、二人の絆をさらに強めていく様子が印象的でした。

視聴者もまた、「一緒に旅がしたくなる」そんな気持ちを呼び起こされたのではないでしょうか。

一人でも、誰かとでも、どこかに行ってみたくなる。

旅はきっかけ、そして自分を知る手段。

『ざつ旅』はその原点を丁寧に描きながら、私たちの背中をそっと押してくれる作品です。